自分の感情を客観的にとらえよう
その対処法としておすすめなのが、「適当力」を使うこと。適当というと、「あの人って適当よね」「そんな仕事、適当にやっておけばいいよ」など、その場だけ要領よくおざなりに済ます、といったマイナスの意味にとらえる人もいるかもしれません。
しかし適当にはもう一つ、「塩加減が適当でおいしい」「適当な場所が見つかってよかった」など、ある状態や目的、要求に合っている、《ちょうどいい》というプラスの意味もあります。
コロナ禍という現実は「ある」し、家族にストレスを感じてしまう自分も「いる」。それは仕方のないことだと受け止めつつ、この状況で本当に必要なものは何か、どうすればもっとラクになれるのかを柔軟かつポジティブに考えられるようになるのが「適当力」の効果。現実は変えられなくても、現実に対する見方や考え方を変えることで、ストレスと上手に折り合うためのスキルともいえます。
最初のステップとして、自分がいつどんな場面で「適当力」を必要としているか、気づくことから始めましょう。ストレスを抱えやすい人は、本音を押し殺し、我慢してしまうケースが多いもの。それで後になってから、「ああ言えばよかった」「こうしたらスッキリしたかも」と思い返して悔やむばかりでは、何も変化は起きません。
たとえば夫に「部屋が片づいていないなあ」と言われたとき、どんな感情が湧くでしょうか。「誰が散らかしたのよ!」という怒りか、「私は掃除もできないダメな主婦ね」という悲しみか、「ドラマに夢中でサボっちゃった」という恥ずかしさか。そうした本当の感情を頭の中で言葉にすると、自分の気持ちを客観的にとらえることができます。
この作業を続けていくと、感情が大きく動いた瞬間に「こういう言われ方をするとイラつく」「落ち込んでしまう」と気がつき、自分の反応にも自覚的になります。より自分の本音に合った(=適当な)返答ができるようになるにつれ、「ああ言えば、こうすれば」という後悔も減っていくはずです。