働く女性が増えるなか、劣等感が増幅して…

料理だって、掃除だって、母にとっては簡単そうで、いつでも「スピードが大切」と、さっさと得意げにやってみせる。母にとって主婦業は仕事ですらなかったかもしれない。そのうえ、きちんと化粧をし、バリバリ仕事をしていた。こんな記憶がいつも心をモヤモヤさせるのだろうか。

これまで誰かと比べられたりしたことはないけれど、自分が一番、主婦であることに引け目を感じているのかもしれない。10年以上、毎日忙しくしていたはずなのに、私は自分の気持ちといつも闘っている。

働く女性が増えるなか、その劣等感はますます増幅して、子どもの頃に植えつけられた「働かざる者食うべからず」という言葉が私を支配する。こんなにも迷いがあるのなら、仕事を辞めるべきではなかったのだろうか。

家事が得意でなくても、家にいてよかったと思えるのは、私が小さな頃、母親からしてほしいと思っていたことを子どもたちにしてあげられている時だ。子どもたちを公園に連れて行き、一緒に遊んで、毎日ご飯を作って、お風呂に入って一緒に寝る。