子育ては想像以上に、気力体力勝負
子どもを持つまでは、子育てはもっと単純なものだと思っていた。けれど現実は違う。朝8時に上の子どもを学校に送り出し、部屋を片づけたり、洗濯物を干したり、掃除機をかけたりしたい。けれど末っ子は待てず、お人形遊びをねだってくる。せめて掃除機だけはかけたいとお願いしてみるが、許されない。遊びに集中できない私に、「ママ、ちゃんとやって」と指摘も入る。
この調子で部屋の片づけもままならないまま、公園、昼食と流れ、夕方慌てて部屋を片づけ、夕食の支度やお風呂の準備に追われるのだ。仕事から帰ってくる夫がドン引きしない程度の部屋にしておくのが精いっぱい。子育ては想像以上に、気力体力勝負だった。
小さな時、遠くに見えていた母はキラキラと輝いていた。そんな母が眩しく、仕事への憧れにもつながった。私もまたいつかは働きたい。私が母親として寄り添った日常も、働く姿も、子どもたちの記憶に残しながら。
キラキラ働く未来を想像しつつ、今日も拭き掃除をする。散らかった本を、末っ子のお昼寝中に戻して、棚も拭く。一日に何度も本を棚に戻し、ぬいぐるみを片づける。
再び働き始める頃には、今の日常が何物にも代えがたい毎日だった、と振り返ることができるのだろうか。その時はじめて、専業主婦を選んだ自分の選択に自信が持てるのかもしれない。
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