イラスト:あずみ虫
「人生100年」と言われる時代。「老後」を迎えた父母とどう付き合っていけばいいのかに頭を悩ませる人も多い。しかも、相手がトラブルメーカーだったら……。久保さん(仮名、主婦)は、義母が亡くなってからの義父の振る舞いに振り回されているという

近所でも変わり者と言われる義父

30年前に結婚した夫は長男だったので、結婚と同時に義父と義母と同居することになりました。義母は体が弱く、物静かな性格で、「これならうまくやっていける」と、確信をもって同居をはじめたのです。

しかし問題は、義父のほうでした。とにかくイヤミな人で、人の気持ちなんかおかまいなしに言いたいことをズケズケ言う。こちらが何か意見でも言おうものなら、「嫁のくせに偉そうなことを言うな!」「出て行け!!」と罵声を浴びせられる。それが原因で実家へ帰ったことも何度かあります。

聞けば近所でも変わり者と言われていたそうで、もっと早くに知っていれば、同居を見送るなど打つ手はあったかもしれませんが、それも後の祭り。「老害」というよりほかありません。

結婚して5年、義母は容体が悪くなり、ついに他界してしまいました。義父はすっかり気落ちし、寂しい気持ちもあったようです。「これからよろしくな」と私たちに頭を下げました。しばらくの間はおとなしくしていたのですが……。

義父は趣味で写真のサークルに入っていました。毎週、参加するのを楽しみにして、写真をたくさん撮ってきては、家族みんなに見せたものです。義母が亡くなって3年ほど過ぎた頃、同じサークルの女性と意気投合。相手の女性も夫を亡くしていて、お互い寂しさから付き合い始めたのです。ただ、夫が結婚だけは許さなかったので、二人は婚姻届は出しませんでした。

義父は女性と付き合っている間は別宅を構え、女性もそこに通っていました。二人の関係は20年あまり続きましたが、だんだん女性の体調が悪くなっていったのです。とうとう入院生活になり、義父はお見舞いに通うも、女性は他界……。

義父は今まで見たことがないくらい落ち込んでいました。そうして女性が亡くなってからは、一人暮らしをすることになったのです。本題はここから始まります。