勝手な妄想を抱いて、女性の入居者に声をかけ

退居後は別宅で元の生活をしていましたが、それも長くは続きませんでした。一度ケアハウスの良さを知ってしまった義父は、食事の支度や体調が悪くなったときのことを考えて、一人で生活することへの不安が湧いてきたのです。「新しいケアハウスを探してほしい」と言ってきました。「今度は大丈夫かな?」と夫と話し合い、下見を兼ねて義父と施設見学に行くことに。

家から離れた街なかには、空きのある施設がありました。静かで清潔なケアハウスを義父もとても気に入ったようで、すぐに入居を決めたのです。

義父にはしつこいくらい、「プライバシーの問題があるから、他人の部屋には絶対に入らないこと」「迷惑はかけないこと」を約束させました。しかしそれも結局、守られることはなかったのです。

まったく知らない土地に来たので、入居当初は慣れない部分もあったよう。食事のときも、ほかの入居者とあまり会話ができないと嘆いていました。それでも、施設は街なかにあるので買い物も徒歩で行けるし、天気が良ければ散歩を兼ねてブラッと外出するなど、退屈しない日々を送っていたようです。「今度こそ大丈夫!」と思っていた矢先、施設長から電話がかかってきました。

「おじいさんのことで……」。まさか! また女の人のところへ? 今度は、部屋には入らなかったようですが、また勝手な妄想を抱いて女性の入居者に声をかけたとか。「自分に好意を持ってくれている」と思い込んで言い寄ったらしい。それでも自分は何も悪いことはしていないと言い張る。前回と同じような理由で、こちらも退居せざるをえなくなりました。