家事においても、私はマメにキッチンタイマーを使うようにしています。いろいろ使ってみて、機能が多いと音が弱いことがわかりましたので、ごくごくシンプルなもので。

予定をきっちり組んでいても、たいていは支度中に電話がかかってきたり、思いがけない用事が舞い込んできたりするものです。こちらの事情なんて向こうはご存じありませんから、受話器を片手にタイマーを睨みつつ、エプロンの端でそこらへんをちょこちょこ拭いてみたり(笑)。でもタイマーが鳴ったら、なにがなんでも電話は切って、予定を優先します。

『料理家 村上祥子式 78歳のひとり暮らし』村上祥子・著 集英社

抱え込みすぎたら「見える化」を

人生100年時代のいま、60代は暮らしを見直す最適な時期かもしれません。私の場合、子どもが巣立って夫と2人きりの生活になったとき、思い切ってモノを減らし、暮らしをコンパクトに整えました。限りある自分の時間とエネルギーを仕事や好きなことにあてるため、家の片づけやモノを探すこと、家事は簡単に済ませたいと思ったのです。

自宅は165平米ほどあり、以前は広いリビングダイニングで生活していましたが、居住スペースを大幅に縮小しました。もとは娘の部屋だった6畳のスペースに、対面式の小さなキッチンカウンターを設けてリビングダイニングに改装。普段はここで生活しています。

最低限の食器・道具に絞られたコンパクトキッチン

コンロは、IHヒーター1つのみ。主な調理道具は電子レンジ、オーブントースター、圧力鍋、入れ子タイプの両手鍋3サイズと片手鍋、フライパン2つ、100均のラーメンどんぶりだけ。これは電子レンジにかけると1人鍋がつくれるだけでなく、煮たりゆでたり蒸したり、料理全般に使えます。

食器は小鉢、豆皿、洋皿、グラス類を各2つずつ。夫との2人の暮らしに本当に必要なものだけに絞りました。すべてが見えて、すぐ手が届く。に先立たれ、一人住まいになったいまも、増えたものや減ったものはありません。