イラスト:曽根愛
収入を増やすのも、出費を切り詰めるのも、簡単ではありません。毎月の固定費を見直し、無理なく効果的に節約する方法をファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに聞きました(構成=塚原沙耶 イラスト=曽根愛)

まずは1ヵ月分、出費の傾向を確認して

節約はやり尽くしているし、収入は変わらないどころか減っている。出費を少なくしようにも、どこを切り詰めればいい? コロナ禍でそんなふうに感じる人も多いでしょう。もう家計の見直しどころがないと考える人ほど、固定費の見直しが実は効果的です。

固定費は、「なんとなく支払っているお金」。必要なものだと思い、無意識に払いがちです。固定費に目を向けることで、日々の意識が変わり、お金の使い方も変わってきます。

まずは自分が何にお金を使っているのか、現状を把握することが大切。コロナ禍で生活環境が変化した人、在宅時間が増えた人もいることでしょう。そういう時こそ、見直しのチャンスです。

固定費とは主に、住居費(家賃、住宅ローン)、水道光熱費や通信費の基本料金部分、各種保険料、教育費や小遣い、自動車関連費などを指します。食費や医療費、交際費などは、毎月支払額が変わる変動費です。

ただ、家ごとにどの費用が多くかかっているかは異なるもの。通帳やクレジットカードの支払明細を見て、書き出しましょう。まずは1ヵ月分、可能であれば、1年、3年など、ある程度の期間で書き出し、出費の傾向を確認することをおすすめします。

中には、「これって、なんのお金だったっけ?」と、意識せずに支払っているものがあるのではないでしょうか。水道光熱費のようにどの家庭にもある固定費以外にも、定期的に支払っているものがあるはず。

たとえば食費は一般的に変動費ですが、定期購入しているものがあれば、それも固定費と考えてよいでしょう。決まって注文しているサプリメント、毎朝の習慣になっている飲み物の購入、自分へのごほうびとしてのスイーツ……。いつも習慣的に買っているものが今の自分にとって本当に必要なのか、見直してみましょう。