一度つまずけば問題が噴き出す
また、こうしたサイクルが上手くまわっているうちは、そこにトラブルの素が潜んでいることに親も気付きません。しかし一度つまずいてしまえば――たとえばできない宿題が出されたりしたら――途端に安定が崩れ、問題が吹き出してしまう。
親が隣に座って、作業としての宿題を何とか仕上げたとしても、本質を理解し、問題に向き合っていないままですから、同じようなことが続きます。そして続けていくうちに子どもを扱いにくくなり、面倒くさいというより、どうしていいか分からなくなった親は、家庭教師や塾に頼ることになります。
万が一、子どもが不登校などになってしまえば、これはもう大変です。子どもが学校に行かないようになれば、当然、親の仕事にも支障が出てきます。
そうなれば理由を考えるより、まずお医者さんのところに行き、「不登校が治る薬をください」と言い出すわけです。即、不登校が治る薬などないとしても、医師は何らかの診断をし、子どもに服薬させ、それで親は安心します。
こうしていく中で、子どもはますます親の理想像から遠ざかっていきます。
焦り、病院や専門家を転々とする親もいますが、目先の対症療法に頼り、本質を見ないのはとても危険です。いつまでも夢や理想に向けて、ではなく、やはり目の前の現実を見つめて、冷静に子どもと向き合い、会話をしなければならないのだと思います。