ほろ酔いでする料理は楽しい
中村 舞台で忙しかった頃は、家事はせずに《女優さん》だけでいたかった。でも現実はそうはいかないから、朝5時くらいに起きて食事の支度。姑の糖尿病用のごはんを別に作って、3人の子どもたちのお弁当を作り、朝食を食べさせて送り出してから楽屋入り。今思えば、若かったからできたこと。それと、お酒を飲めたのもよかったのかも。
小林 お酒は気分転換になるから。
中村 キッチンドリンカーっていうとなんか悪いイメージがあるけれど、お酒をちょっと飲みながらお料理したほうが楽しいもの。
小林 そうそう(笑)! オレも仕事で料理する時以外は、台所に焼酎のビンを置いて、ちびりちびりやりながら作ってます。つい、鼻歌が出てくる。
中村 なにが出てくる?
小林 演歌かなあ。あと、北海道の人間だから「ソーラン節」とか。
中村 演歌や昭和の歌謡曲は家事に合うけど、クラシックは合わないわね。ベートーヴェンの「ジャジャジャジャ〜ン」なんて曲で掃除できないもの。
小林 えらいことになるね。
中村 夫は作曲家なので、私が大声で歌いながらお掃除していると、「作曲中だから、その歌やめてくれる?」って。
小林 いつも歌いながら掃除しているんだ。
中村 もう、しょっちゅう。モヤモヤしていたり、悲しくなってくると、親友だった美空ひばりさんの歌が口をついて出てくるわ。