中村メイコさん(左)と小林まさるさん(右)(撮影:宮崎貢司)
2年前、中村メイコさんの入院を機に、夫の神津善行さんははじめて台所に立つようになったそう。70歳で息子の妻の調理アシスタントになった小林まさるさんとともに、「家事は男女関係なく、できるほうができる時にすればいい」と話します。(構成=篠藤ゆり 撮影=宮崎貢司)

全部オレがやってやるから

小林 いや〜、テレビで観てきた方に会える日がくるなんて!

中村 小林さんとは同世代ですけど、私は2歳からテレビに出ていますからね。(笑)

小林 70歳で息子の妻(料理研究家の小林まさみさん)のアシスタントになったことで、テレビに出演したり、自分の料理本を出すことになったり、いろいろあった人生のなかでも、今日は格別嬉しいな。

中村 ふふふ。けっこうなお歳になってから料理の世界に入られたのは、どういう成り行きなのかしら?

小林 もともと料理は、若い頃からよくやっていたんですよ。34歳で結婚して、娘と息子が生まれたけど、3年で離婚。シングルファーザーになってしまったから。

中村 50年前にシングルファーザーは珍しかったでしょう。

小林 でも仕事も忙しい盛りだったし、ひとりで子育てや家事をこなすのは難しくて、結局、元の妻と再婚して。妻は体が弱くて入退院を繰り返していたから、子どものお弁当作りや料理はオレが担当。結局、オレが57歳の時に妻は亡くなってしまったんだけどね。

中村 いろいろあったのね。

小林 娘は結婚して出ていったけど、息子がまさみちゃんと結婚する時、同居しようと言ってくれて。

中村 きっとお父さんが一所懸命育ててくれたからね。

小林 その頃、まさみちゃんは会社勤めをしながら、料理研究家を目指して夜は調理師学校に通い始めた。だからオレ、言ったの。「まさみちゃんは自分のことに打ち込みなさい。家事は全部オレがやるから」って。

中村 あらまッ!