\マインドチェンジ(1)/
「ちゃんとしなきゃ」
という思い込みを捨てる
〈何品もおかずを用意し、部屋をきれいにして……ちゃんと家事をする妻・母は愛情深くて素晴らしい。そんな刷り込みから自分を解放して。豪華な食事を作ってSNSにアップする友人と自分を比べるのもやめよう。人は人、自分は自分〉
家事は愛情? いいえ、技術です
それにはまず、家事に対する意識改革が必要かもしれません。日本では、愛情弁当という言葉もあるように、「家事は愛情の証し」と考えがちです。この発想が「ちゃんと家事をやらなきゃ」につながっているのでしょう。夫や子どものために栄養バランスのとれたお弁当を作るのは素晴らしいことですが、たとえお弁当を作れなくても、夫や子どもの話を一所懸命聞いてあげる、それだって十分な愛情です。
ある知人が「毎朝、トーストしたパンにバターを塗って夫に出している」と言うので「なぜあなたが塗るの?」と聞いたら、「自分でやらせるのはかわいそうでしょう」と。相手を気にかけて世話を焼く、その気持ちは理解できなくはないけれど、バターも塗ったことがないまま80歳になって、ある日妻が倒れでもしたら、もっとかわいそうでは、と思うのです。
歳をとれば誰だって病気になる可能性はあります。妻が先に倒れたら、家事スキルのない夫は、妻の介護と自分の世話でてんやわんや。それで夫のほうも倒れてしまった、という話も耳にします。愛情だと思って自分で家事を抱えてきたことが裏目に出て、結局家族が困ることに。家事は愛情ではなく、日々の生活を回すための技術。そう割り切って、自分がいなくても家族が困らないように、家事の技術を身につけてもらいましょう。自分が楽になるためというよりは、生きる力を伝えるつもりで。