水溶性食物繊維が
有用菌を増やす
とても重要な役割を担う食物繊維ですが、一方で悪用菌のエサにもなってしまいます。
「悪用菌による分解を『腐敗』といい、『腐敗』すると、腸内がアルカリ性に傾いて悪用菌が増殖。発がん性物質などの有害な物質をつくるといわれています。ですから、有用菌が優位になるよう腸内フローラのバランスを整えることが重要です」
そのためには、悪用菌のエサとなる糖や脂質が多い食事を控えると同時に、有用菌が好む食材を積極的に摂ることが大事だと強調します。
「食物繊維の中でも水に溶けやすい水溶性食物繊維は、発酵しやすく、有用菌だけを増やすという特性があります。食物繊維全体で1日25g 、そのうち水溶性食物繊維を8g、毎日摂り続けることで有用菌の数を増やせるでしょう」
さらに、大腸にいる有用菌がつくり出す短鎖脂肪酸は、小腸にも供給され、全身の免疫力を高める役割も果たしているのだそう。
「ウイルスや細菌から体を守るため、小腸には全身の約5割の免疫細胞が存在し、IgA抗体という免疫物質をつくっています。病原体が小腸から体内に侵入しないのは、この免疫物質が働いているからです」
新型コロナウイルスの細胞侵入経路のひとつも、実は小腸なのだとか。ただし内藤先生は、現在供給されているワクチンは小腸からの感染には対応していないという問題点も指摘します。
「小腸自体の免疫力を高める努力が不可欠ですが、その方法は研究途上です。ただ、ラットを用いたインフルエンザの実験では、食物繊維を摂取すると小腸で短鎖脂肪酸がつくられ、IgA抗体も分泌されることがわかっており、ヒトでも同様の可能性があります。また、腸内フローラのバランスを整える生活は、小腸、ひいては全身の健康によい影響を与えることは、間違いありません。腸の状態はおならや便のにおいに反映されます。においをかいでセルフチェックしてみてください」
次から、腸内フローラを整える生活術を紹介します。