(5)つみたてNISA口座なら節税も
「つみたてNISA」は、特定の金融商品を定期的・継続的に積み立てられるNISAのこと。金融商品の売却や分配金などの利益に対して、通常20.315%かかる税金が、つみたてNISAおよびNISA専用口座で行えば非課税になるのです。
たとえば投資信託を売って30万円の利益が出たら、通常は約6万円の税金がかかり、手に入るのは約24万円。しかし専用口座を利用すれば、まるまる30万円を受け取れるのです。
従来のNISAは年間投資の上限額が120万円まで、最長5年間非課税に。つみたてNISAは上限額は40万円と少ないものの、最長20年間非課税になります。厳密にいうと、優遇制度は2037年まで利用できるので、2037年に投資した分は、その20年後にあたる2057年まで非課税の恩恵にあずかることができるのです。
前述の「積立投資信託」を始めるなら、証券会社で一般口座ではなくつみたてNISA口座を開設し、利用するのも手。ただ、購入できる商品が限られていて、その数は金融機関によって異なります。
また株式とバランス型の商品のみで、債券はありません。資産が株式ばかりに偏るとリスクは高くなります。つみたてNISA以外にも資産を持ち、全体のバランスをとるといいでしょう。
とはいえ、金融庁が「長期、分散、積立」に向いていると判断して厳選した商品なので、どれを選んでも手数料が安い。その意味でも、初心者が長期投資を始めるには利用価値のある制度です。
ちなみに普通の口座でも、投資信託の運用による利益が20万円以下なら課税されません。
なお、節税という意味では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」はさらにメリット大。つみたてNISAと同じように商品を選んで、積み立てるのですが、運用中の利益が非課税になるだけでなく、毎年、掛け金が全額所得控除され、受け取るときも公的年金等控除などが適用されます。
ただし年齢制限があり、掛けられるのは60歳まで。40代以下の方であれば10年以上運用ができて利用価値は高いものの、50代以上の方は長く利用できるつみたてNISAが向いています。
投資というと、「まずは、元手を貯めてから」「素人には難しいから、勉強しないと」と、なかなか始められない方がたくさんいらっしゃる。しかし、少しでも老後の不安を解消するために、生活防衛資金を手元に確保したら、まずはトライしてほしいのです。自分にぴったりな投資方法を、ぜひ見つけてください。