堅実に貯めるだけでなく、お金を運用する知恵もほしいけれど、「もし、損したら……」という不安が拭えない。そんな慎重派のあなたにできるだけリスクを回避しつつお金を増やす方法を、FPの横山光昭さんが伝授します。まずは、投資を始める前の基礎知識からスタートです。(構成=村瀬素子)

(1)3つの基本ルール

最近、資産運用法の一つとして、投資に興味を持つ方が増えています。投資と一口に言っても、株式、国債や社債などの債券、投資信託、FXなど、種類も買い方もさまざまです。

何をどう買えばいいのかは、のちほど述べますが、その前に、これまで一所懸命に貯めたお金を大きく減らしかねないハイリスク・ハイリターンな投資は望まない読者世代のみなさんが、損をしないための基本ルールを押さえておきましょう。

まず一つは、投資した資産を「最低でも10年、長期間保有」すること。投資で利益を得るには、安いときに買って高いときに売ればいいのですが、市場を読んで買い時と売り時のタイミングを計るのは、よほど知識とセンスがある人でなければ、できません。

つまり投資のプロではないみなさんが、市場の動きと連動した短期間の売買で成功する可能性はかなり低いといえます。

市場の相場は、上がり続けることも下がり続けることもありません。たとえ相場が暴落しても、いつかは回復します。つまり暴落したときに「このままじゃ、大損する!」と慌てて売却せず、回復して利益が出るまでじっと待てばいいのです。

リーマン・ショックのような大暴落の場合は、回復に5年以上かかることもあります。ですので、最低10年は保有するつもりで始めましょう。

二つ目は、「投資先と種類を分散させる」こと。極端な例を挙げると、全財産を投じた会社の株価が大暴落したら、一気に資産を失いかねません。たとえ株が暴落しても、国債などの債券にも投資しておけばリスクは少なくなります。一方に損失が出ても、もう一方がカバーし、リスクを抑えることができるのです。

三つ目が「一括ではなく、積み立てて購入する」ことです。一度に多額の投資を行うのは売買のタイミングが難しいですし、値が下がったときのリスクが大きい。

相場の動きによって買値が高くなるときもあれば、安くなるときもあるので、少額を定期的に購入すれば、投資価格が平均化され、リスクが分散されます。

投資に「絶対」はないけれど、投資先と種類を分散し、コツコツと長い間積み立てていく。これだけは、覚えておいてください。