「家族とも別に食べていた」という報道の真実は
ーー田村正和さんは、多くの伝説を残している。曰く「人前では決して食べる姿を見せない」「台詞は完璧に覚えて、NG知らず」など。その真偽のほどはどうなのだろう。
* * *
「家族とも別に食べていた」と書かれている記事を読みましたが、そんなことはないですね。いつもみんなで和気あいあいと食事していましたよ。家を建て替えた際、ダイニングテーブルの上に降下式の換気扇をつけ、「みんなで焼肉を食べるときに、すごくいいんだよ」と言っていたくらいです。
「演技においては完璧主義」というのは事実です。一本一本の作品に心血を注ぐあまり、「台本を持つと血圧が上がる」とも言っていた。そういう意味では自分を追い込んでいたのかもしれません。ただ、「NGを出さない」とか「台詞は完璧に入っている」というのは、役者として当然のこと。わざわざ書きたてるようなことではないと思います。僕もドラマ『どてらい男』に出ていた約4年間、一度もNGを出しませんでした。
親父も、映画一本分の台詞をすべて完璧に覚えるまでは、撮影に入らなかったと聞いています。そういう意味では、やはり僕ら兄弟は父の血というか、父の役者としてのありようを受け継いでいるのかもしれません。