「77歳は気をつけたほうがいいね」とは話していた
とくに体が弱いほうではなかったと思います。中学・高校時代はバスケットボールをやっていたし、過酷な撮影もこなしていた。ただ、お互いに、「77歳は気をつけたほうがいいね」とは話していました。まわりでも男性は77歳くらいで病気になる人が多く、長兄の高廣兄貴(俳優の田村高廣さん)も77で亡くなりましたから。それもあって、用心して仕事を減らしたのかと思っていたので、まさかこんなに早く逝くなんて想像もしていませんでした。
通夜と告別式は身内9人だけ。お寺のこぢんまりとしたお堂で執り行いました。そのお寺には大きな本堂もありますが、和枝さんが「こっちのほうが静かで、正和さんが喜ぶんじゃない」と。身内だけだから、弔辞もなければ挨拶もない。すごくいい見送りでしたよ。最後のお別れは、本来、ああいう形がいいんじゃないかな。
コロナ下だから内輪だけで見送ったわけではないんです。葬儀は派手にせず静かに見送ってほしいと、本人が家族に伝えていたそうです。
派手なことを嫌うのは、田村家の人間に共通していることかもしれません。親父(映画俳優の阪東妻三郎さん)も、高廣兄貴もそうでしたから。兄は幸せな人生を送ったと思いますよ。仕事もプライベートも、自分の生き方やスタイルを崩すことなく貫いて去っていきました。