よく眠れない、体がだるいなど、夏は疲れを感じがち。原因のひとつに「睡眠の質の低下」があるようです。誰でもぐっすり眠る方法を専門医・白濱龍太郎さんに聞きました(構成=島田ゆかり イラスト=石川ともこ)

質のよい眠りの3つの条件

現代人の睡眠の質は昔に比べると驚くほど低下しています。その原因は、夜になっても活動が続く生活リズムや、長時間スマートフォンやパソコンを使用しているライフスタイル。これらはよい睡眠を阻害するものです。加えて夏は寝苦しく、よく眠れないという人も多いでしょう。疲れが取れないと感じるのも当然といえます。

そもそも睡眠の役割は、昼間に活動した脳と体がオーバーヒートしないように、脳の温度を下げ、細胞を修復することにあります。また、寝ている間に脳に溜まった老廃物「アミロイドβタンパク質」や体内の疲労物質を排出する役割も。しかし、睡眠時間が短くて深く眠れない場合、これらの排出がうまくいかず、目覚めても疲労感が消えないというわけです。逆にいうと、ぐっすり眠れば、疲労感もスッキリとなくなります。

よい睡眠の条件は、3つあります。まず、「自律神経」である交感神経(覚醒)と副交感神経(リラックス)のスイッチが夜にしっかり切り替わること。本来ならば、夕方以降、自然と副交感神経優位に変わることで眠りに入りますが、遅くまで仕事をしたり出かけたりする生活習慣から交感神経優位のまま夜を迎えることになると、睡眠の質が低下します。夜はできるだけリラックスして過ごすよう心掛けましょう。

次に、「メラトニン」という睡眠を誘発するホルモンがきちんと分泌されること。メラトニンは朝起きて光を浴びると約14時間後に分泌され、眠気を誘発します。しかし、スマホやパソコンのディスプレイ、お店のLED照明などが発するブルーライトにより、分泌が抑制されてしまうのです。夜に光を浴びると、よい睡眠の妨げになります。