売り手よし、買い手よし、世間よし、未来よし
蟹江 日本には「三方よし」という商人の経営哲学がありました。売り手よし、買い手よし、世間よし。売り手も買い手も満足し、社会も良くなる。それに「未来よし」を加えたのがSDGsです。日本にはそういう伝統的な考え方があるので馴染みやすいと思います。
本上 ただ、企業や個人の力ではどうにもできないこともありますよね。環境や人を大切にする社会であるために、時には声をあげて国に働きかけることも必要だと思うようになりました。
蟹江 SDGsの意識が高まると、自分でできることの限界もわかってきて、自分と社会とのつながりを考えるようになるんです。
本上 コロナ禍で一つだけよかったことがあって。外出自粛で家族そろって連日コロナ関連のニュースを見ていたのです。各国の取り組みやリーダーの対応が全然違って、子どもから「なぜ日本はこれができないの?」と疑問をぶつけられる。でも親もわからない。それを子どもと一緒に感じて考えられたことは、私にとってもいい勉強になりました。
蟹江 この1年、マスクと手洗い、うがいを徹底して、自分の身を守るようになりましたよね。誰か一人ではなく、世界中がそれを同時に実践することで感染拡大を防ぎ、社会が守られる。これはコロナに限った話ではないと思うのです。自分を守ることで世界が守られる。そのことを全世界が身をもって実感できたという経験は、SDGs達成に生かされると思いますね。