本上まなみさん(左)と蟹江憲史さん(右)(撮影:大河内禎)
地球規模の大きな目標を、私たちは日常生活のなかでどのように気をつければいいのでしょうか。第二子出産を機に自然豊かな場所に移住して子育てをしている本上まなみさんと、第一線の研究者である蟹江憲史さんが語り合いました。後編はSDGsについて話す大切さから――(構成=村瀬素子 撮影=大河内禎)

《第一人者が詳しく教える》SDGsはやわかり

<前編よりつづく

誰かと話すことで行動に移せる

本上 できれば、SDGsについていろんな人と話すことも大事だと思います。雑談のなかでちょっと話題をふってみるとか。私もママ友やご近所さんと話してみてわかったのですが、普段は口にしないけれど、みなさんいろいろ考えているんです。子ども食堂に興味があるとか、恵まれない人たちに何か支援したいとか。でも一人だとなかなか行動に移せない。

蟹江 心で思っていても言うのが恥ずかしい、意見を言う場がない、という人は多いですね。

本上 誰かと話すことで一歩を踏み出せるかもしれない。同じような思いを持つ人たちがつながれば、思いが行動になり、よりよい社会になっていきそう。

蟹江 今はSNSなど自由に発信できる場がありますから、「こんなことを始めようと思っています」と発信すれば、似たようなことを実践している人や賛同者などの仲間を見つけやすい時代ではありますね。

本上 私、以前は、未来の地球環境は今より悪くなるだろうと悲観的だったんです。でも、友だちと話したり、おもしろがって環境問題を学んでいる子どもたちを見たりしていると、世の中捨てたもんじゃないかも(笑)と、未来に希望が持てるようになりました。

蟹江 僕もここ数年で、世の中の流れが変わってきた手応えを感じますね。企業も経済優先では世間からそっぽを向かれる時代になってきた。森林破壊、水質汚染、大気汚染への対策や、発展途上国で作られたものを適正価格で取引するフェアトレードなど、SDGsに取り組む企業は増えています。環境や社会への責任を果たしてこそ優良企業、という認識が広まりつつあるのがうれしいですね。

本上 消費者がそういう企業の商品を好んで買うようになれば、さらにSDGsに取り組む企業が増えて好循環ですね。