子どもと一緒に組み立てて

蟹江 まず家の構造材は、すべてFSC認証の木材に。エネルギーを創り出せるように太陽光パネルをつけました。窓枠を木にしたことで断熱性能もアップさせて。それから、あえて子ども部屋は作らず、木材を組んで小さなブースにしました。中にベッドを置いて、外の枠は本棚になっているんです。

本上 わぁ、素敵! お子さんはおいくつですか?

蟹江 10歳と2歳です。子どもの成長につれて必要な間取りは変わりますよね。個室にするのは必要になってからでいいかと。木材で作ったブースは、釘などの金属を使わない板の組み合わせのみなので、壊して再利用でき、廃材も生まない。木だけでも耐震性は高く、震度7でも壊れません。

本上 お子さんも一緒に組み立てたんですか?

蟹江 組み立てはもちろん、土を素材にした自然塗料を壁に塗る作業もしました。

本上 一つひとつ考えて選んでいくのは、時間がかかりますよね?

蟹江 時間もコストもかかりましたが、長い間使うことを考えると、すぐに使えなくなるモノよりも一年あたりのコストが安くなることだってあります。

自分ごととしてSDGsに取り組んでわかったのは、サステナブルな家を作ろうと思っても、細かなオーダーを聞いてくれるハウスメーカーがまだ少ないということ。僕は建築家の友人がいたから叶えられましたけど、消費者のニーズに合わせて選択肢が増えればコストも下げられ、自宅そのものをSDGsにできると思いますよ。

本上 行動を起こすと、新たな課題も見えてきますね。蟹江先生のお話を伺って、30年までの達成に向け、できることって無数にある気がしてきました。これおもしろい! これやってみたい! というものをどんどん生活のなかに取り込んでいきたいです。

蟹江 そう、明るい未来のために。