小池一子さん(撮影:広川泰士)
コピーライターから始まり、演劇やビジュアルアート、展覧会のキュレーションなど、様々な分野で活躍するクリエイティブディレクターの小池一子さん。新著『はじまりの種をみつける』で今までの仕事を振り返り、気づいたことは――(構成=山田真理 撮影=広川泰士)

クリエイティブディレクターはどんな仕事?

この7月から総合ディレクターを務める「東京ビエンナーレ」が始まり、85年の人生でも一、二を争う忙しさです。アメリカ人の夫からあきれられるくらい(笑)。その準備期間中に、懸案だったこの本を刊行することができてホッとしています。

本のタイトルにもつけたように、のちに仕事や作品が芽吹く「はじまりの種」を、私は探し続けてきたのだと思います。自由に育ててセンスを伸ばしてくれた両親や養父母、翻訳家・作家の道に進んだ姉(矢川澄子さん)との思い出、演劇にあけくれた大学時代の記憶。なにより、若い人に伝えたいことを一冊にまとめられてうれしいです。

振り返れば、コピーライターから始まり、演劇やビジュアルアート、展覧会のキュレーションなど、さまざまな分野をジャグリングするように、その時々でやってきましたね。

私が続けてきた「クリエイティブディレクター」は、ものづくりの現場において、それぞれのプロ同士を束ねるのが仕事。私という媒介を通して、人と人を繋げることを大事にしてきました。