jewelとgemの違いって何なんだろう

すっきりせずに英和辞典をめくると、gemの訳が「珠玉」になっていた。えっ。ということは、わたしは「珠玉の事務員」や「珠玉の厨房さん」だったのか? しかしわたしは、こころ温まる請求書を送付して取引先をほっこりさせた覚えも、落涙必至のうどんヌードルを作った覚えもない。

そもそも、宝石を意味する単語にはjewelというのもあって、こちらは優れた人物を表す言葉としても使われる。jewelとgemの違いって何なんだろう。という疑問に導かれてケンブリッジ英英辞書を引いてみると、わりと納得できる定義が書かれていた。

jewelは「価値ある物体を飾るために使われる宝石」で、gemは「宝石。特にある特定の規則的な形状にカットされたとき」。ということは、後者はまだカットされてない原石も含んでいる。つまり、gemとは、一見すると宝石とはわからない石ころの状態のこともあるわけで、輝かしく華やかなものにはとても見えない土まみれのものもあっていいのだ。

ここでようやくリーヴィング・カードの意味がわかってきた。あなたは目立たない石ころみたいな人だけど、時々いぶし銀のように渋く輝くことがある、きちんとカットされて磨かれたら宝石にだってなり得る人ですよ、と言われていたのかもしれないなと思って、なかなかいい言葉じゃないかと考えるようになった。だから、自分が誰かのリーヴィング・カードを書く立場になるときにも、ぜひ書き込んでみたいと思ってきたのだが、しかし自分がその言葉を贈られ過ぎたせいかつい自分自身の姿を思い浮かべてしまい、「あなたはもっさりとした石ころみたいな人ですよ」と言っているようで、やっぱやめとこうとなってしまう。