イラスト:中村純司
太っていてもやせていても、女性にはつきまとう体重の悩み。数キロの変化に一喜一憂し、目標に達したときは夢心地。体重のコントロールは人生を左右する大問題になりうるのです。子どもの頃から「痩せすぎ」が悩みだった女性が、中年期にやっと太れたかと思ったら、別の地獄が待っていたとは―

隠したくても隠せないやせ形の悩み

物心ついたときからやせ形で、家族やまわりの人たちに「やせすぎだ。もっと太れ」と言われ続けてきた私。「カマキリ」「竹とんぼ」「火箸」など、いろんな呼び方をされ、私は人からやせていると思われるのが嫌でたまらなくなった。

高校生になると身長は156センチまで伸びたが、体重は40キロを超えるかどうか。通学途中に上り坂で自転車を押しながら歩いていると、すれ違う男子高校生が「ほっせーなー。骸骨みたい」と言うのがよく聞こえてきた。私は早く遠ざかりたくて、下を向いたまま歩みを早めた。

年頃になっても、胸はわずかに膨らんだだけ。だから、高校の洋裁の授業で自分の胸囲を測ってブラジャーを縫製したときはつらかった。サイズが小さいのが恥ずかしくて人から見られないようにしていたのに、先生に見つかり、みんなの前で「こんなに小さいなんて、あなた何か間違えているんじゃないの」と言われて胸囲を測り直された。あれ以来、やせていることは現在まで続くコンプレックスになっている。

高校を卒業して働き、24歳で結婚した。その頃は42~43キロだったが、年頃になれば肌にハリが出て骨ばった体を隠してくれる。「色の白いは七難隠す」というけれど、夫も私の色白に騙され、体の細さを気にしていなかったようだ。

しかし、結婚後に会社の同僚から「お前の奥さん、細いなあ。抱くと骨が刺さりそうだ」とか、「膝枕してもらっても気持ちよくないだろう」と言われたといって、不機嫌になって帰ってきたことがある。私は「今頃気がついたのかしら」と思った。