息子家族の帰省は嬉しいけれど

その後、2人の息子を出産。子どもを産むたびにやせ、子育てに追われるほど体の細さが目立つようになっていった。私は「太りたい」と何年も思い続けていたが、世の中にはダイエット情報は氾濫していても、太るための情報がない。相談相手を探すのにも気を使う。姉は「中年になれば太りだすわよ」と励ましてくれたけれど、子育て中はいっこうに変わらなかった。

そんな私の悲願が叶ったのは50代後半。子どもが自立して家を出たのだ。息子たちにあれこれ世話を焼いていたが、夫と二人暮らしならのらりくらりと過ごせばいい。夢のような毎日で、たった2年で体重は40キロ台半ばから57キロまで増加。「念願が叶った!」と思うと、私は嬉しくてしかたなかった。

ところが、喜びは長くは続かなかった。息子たちが結婚し、孫が生まれると、盆や正月、ゴールデンウィークに家族で遊びにくるようになったのだ。今では息子夫婦2組に、生後半年から小学校2年生までの5人の孫、総勢9名が2、3泊していく。

もちろんみんなの顔が見られるのは嬉しいが、私たち年寄りと息子一家では食べものの好みも違う。孫たちが来る1週間前から、何を作って食べさせようか、客用の食器を出して洗っておかなければ、寝具やシーツを準備しておこう、バスタオルは足りるかしら……とたいへんな忙しさに追われる。息子たちが帰れば、それを全部一人でしまうのだ。

私が50代や60代前半の体力のある頃ならまだましだっただろう。しかし、私の体が衰えていくのに孫は増え、準備するものの量も増えた。年に数回のことと言っても、年々つらくなっていく。