特に仲の良かった人と二人で会いたいという私の希望はA子のせいでかなえられず、なぜか例の5人組で会うことに。彼女は自慢話のオンパレード。私も対抗したい思いだったが、当時は父が脳梗塞で倒れたり、老朽化した実家のマンションの処分に困っていたりして、これといって自慢できる材料もなく、ただただ彼女の話に耳を傾けていた。

しかし、別れ際の「あなたって、今、不幸そうよね」という言葉が胸に突き刺さった。いつか見返してやりたいという気持ちは、この時に芽生えたのかもしれない。

 

周囲の視線が、A子ではなく私に注がれ

私たちが久々に集まった翌年、たまたま高校の学年全体の同窓会が開かれることになった。私は迷うことなく出席を決める。同窓会当日は、幹事のおかげでとても楽しい時間が流れていた。

そこで、思いもかけないことが起こる。男性陣がやたらと私に近づいてくるのだ。「若いね!」「ビューティフルだね」など、お褒めの言葉をシャワーのように次々と浴びせてくる。一緒に写真を撮ろうよ、と誘ってくる人も。

高校時代に、いわゆるモテる状況になかった私は、正直面食らった。たしかに、当時、40代後半の私は10歳くらい若く見られることが多かったし、長いつきあいの友人からも、「最近きれいになったね」と言われたことがあった。

でも、学生時代というのは、ある種特殊なヒエラルキーが確立しているもので、同窓会では、昔のマドンナが変わらずチヤホヤされるのが常である。高校時代のマドンナ的存在はA子だった。だから彼女は、自分が注目の的になるはずだと考え、同窓会に参加したのだと思う。

ところが周囲の視線は、予想外に私に注がれている。A子の自尊心は大いに傷つけられたと思うし、それだけで私は満足だった。かつて理不尽な攻撃を受けたことも、これで溜飲が下がったことは否定しない。