数年後の同窓会を見据えて、ダイエットに励む
その後、さらに信じられないことが起きた。A子の夫のKがそっと近づいてきて、「昔と変わらないね」とささやいたのである。A子が私のことを好いていないことは百も承知のはずの彼が、私を褒めたのだ。あまりのことにびっくりして、私は言葉が出なかった。妻がその場にいながら、ほかの女性を褒めるような男性を私は好きではなかったし、その相手がA子の夫ということに何より驚いたからである。
同窓会の後も、彼女とのメールは続いた。内容はたわいのないものであったが、近況を伝えると時々、イヤなことを言ってくる。「あなたといると不幸になりそう」。その言葉でついに私はキレた。「同窓会の時、あなたのご主人から、変わらないね、と言われました。咄嗟のことで何も返せませんでしたので、ぜひお礼を伝えておいてください」とメールを送信。すると彼女からの連絡はパタリと途絶えた。
もともとA子が好意を持っていたSとつきあっていた私。そのうえ自分の夫まで私を持ち上げたのだから、プライドの高い彼女のこと、内心穏やかではいられなかっただろう。もちろん私にとってはささやかな仕返しのつもりだった。
そしてそれ以降、彼女からの年賀状が来なくなったことが、私の復讐がうまくいったことを証明していると思う。
それにしても女の執念とは、これほどまでに続くのであろうか。かつての自分にすがりつく彼女は、みじめとしか言いようがない。でもそう言う私も、リボンのついた洋服に前髪パッツンの、他人から見れば「イタいおばさん」になっている。
だが、他人を妬んだり、迷惑をかけたりしなければ、自分の好きなようにしてもよいのではと思う。そして数年後に再び同窓会が開かれるとの情報を掴んだ今、絶対にA子には負けるものかと、ダイエットに励む日々である。