(イラスト:おおの麻里)
新築購入後夫の会社が倒産した荻野さん夫妻(仮名)。やむにやまれずコンビニ経営に手を出したが、それはいばらの道だった……。 家計は火の車。家のローンとロイヤリティの支払いがのしかかる。

体に染みついた節約の意識

月末になると、財布の中を整理する。餃子やハンバーガーの割引券、天丼チェーン店の海老天1本無料券……。外食なんてほとんどしないが、もしかしたら使う時があるかも。その時のために、財布の中はいつもクーポン券でパンパンだ。そして結局は、ため息と共にゴミ箱に捨てられる。

それだけではない。トイレは小なら1回では流さないし、お風呂も数日間は追い炊きする。電気・ガス料金は、まとめて一番安くなる方法を常に調べて契約し直す。いつ買ったのかわからないほどボロボロのクイックルワイパーに挟むのは、普通のティッシュペーパーだ。髪の毛やホコリはこれで十分。最後に、湿らせたティッシュでたまったゴミをふき取って終了。

化粧品は高いので、10年ほど前から化粧をやめた。髪は2、3ヵ月に1度、1000円カットの店に行きベリーショートにしてもらう。服を買うのだって、一大事。シーズン終わりに買うなんてまだ早い。そこからさらに待って格安になった時に残り物を狙うのだ。ワゴンの300円のTシャツだって絶対に試着!

「安い」「着て楽」「洗濯に耐えうる生地」。それが買うかどうかの判断基準だ。そうして買った安い服は、繰り返される洗濯で色褪せ、生地がデロンデロンに伸びても捨てない。パジャマ代わりや部屋着としていつまでも現役なのだ。おしゃれ感覚や流行りのスタイルなんてどうでもいい。

食べ物には、健康を考えて一応気は使うが、高級食材やお取り寄せなんて、別世界の話。毎日チラシをチェックし、その時最もお買い得品が多い1店舗に絞って買う。以前は、2、3軒ハシゴしたり、安い日替わり品を狙って毎日行ったりしたが、買い物の回数が多くなれば、結局は食費も高くつく。そのうえ疲れるとわかってやめた。商品の底値は頭に入っているから衝動買いはしない。なんてったって、買い物の失敗は許されないのだから。

私だって、せこく、みみっちく生きたいわけじゃない。しかし、そうせざるをえない状況が長く続くほど、節約の意識は体に、頭に、染みついていったのだ。この生活感覚に慣らされて20年近く経つ。