イラスト:東久世
高校時代の友人とのトラブルや嫌な思い出も、時間とともに薄れていくもの。しかし、因縁の相手と再会し、変わらぬ態度に「いつか見返してやりたい」と心に火がついた。ワガママで自己主張が激しく、こちらの気持ちはおかまいなしの相手に私が放った一言とは――

年賀状だけのつきあいだったが

今を遡ること37年前、高校2年生の時、仲良し女子5人組でパジャマパーティーをすることになった。皆で夕飯を作り、布団に入ってからも楽しくおしゃべり。ところが突如、A子が、「話がある」と恐ろしい形相で私を睨みつけた。身に覚えのない私は思わず身構えたが、なにせ彼女の家だ。逃げられる場所などなく、私は一方的に彼女の主張を聞くことに。

すると彼女は、「あなたは、彼氏であるS君のことを大事にしていない。私のほうがS君を好きだ」と告白してきたのである。私は驚いた。そもそもA子にはKという彼がいて、Kと私の彼のSとは親友といってもいい仲。おそらくA子は、K、Sと行動をともにしているうちに、彼に惹かれたのだろう。

でも、私からすれば自分の彼を大事にしていないのは、紛れもなくA子である。私は、責められたことに納得がいかず、帰りの電車の中で涙にくれたことを今でも覚えている。

その後、A子は紆余曲折を経ながらも、Kと結婚。私はといえば、大学進学と同時にSとは別れ、別の男性とつきあった。デートや試験など目の前のことに忙しく、高校時代のことは忘却のかなたへ。それとともにA子に対する不信感も消え、年賀状だけではあるが、つきあいは続いていた。

子育ても終わり一段落した頃、私は例の5人組の一人と会うために連絡先を知りたくて、A子にメールをした。すると彼女は、自分もその場に参加する気満々。「自分の娘が某有名大学に入学した」とか「家を建てたから、ぜひあなたに見てほしい」など、考え過ぎかもしれないが、私に対するライバル心むき出しの様子が見えた。あれからもう30年近くたっているというのに、妬みのような気持ちはこんなにも持続するものなのかと、不快感を抱いた。