「デジタル遺品」パスワード管理に工夫を

ここ数年で増えてきたのが、デジタル遺品。パソコンやスマートフォンに遺されたネット金融の口座や、Amazonなどのアカウント、電子マネーなどを指します。月会費など金銭が絡むものは、没後速やかに解約してもらわなければなりません。

そもそも、利用しているサービス、IDやパスワードがわからないと家族が解約できず、月極のものなどは会費を払い続けることに。現在利用しているサービスのホームページ、ログインID、パスワード、会費に関するメモを「一覧」にしておきましょう。

IDやパスワードのヒントはパソコンのそばに置き、パスワード一覧は別の場所に保管しておく

その際、パスワードは別紙にまとめ、登録一覧にはヒントだけを記すこと。そうすれば、セキュリティも保てますし、2つを照合して「A銀行のパスワードは6から始まる8桁のものだな」ということもわかります。

一方、放置しても金銭が発生しないブログやSNSのアカウントなどは、対処を慌てなくてもかまいません。とはいえ、亡きあとも見られることに抵抗があるなら、削除してもらうよう、書き残したいものです。

もう1つ生前整理で多いのは、「遺言は書いたほうがよいか」という相談。誰に何を残すか決めておきたい場合や相続手続きが大変になるケースの人が多いようです。

葬儀の希望などは、遺言書でなくてもかまいませんので、エンディングノートを活用して希望を書き記したり、家族に伝えたりしておくとよいでしょう。

法的効力のある遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」の2つがあります。前者は費用がかかりませんが、書き方によっては法的に執行できない場合も。後者は不備がないというメリットがあります。遺言書がきちんと執行されるよう、内容を含め、弁護士や行政書士などの専門家に相談するとよいでしょう。

遺される人のために、最低限の生前整理を始めておきたいものです。