在宅医療を希望する場合は

誰もがいつか必ず迎える死。けれど、長く患うか、介護が必要になるのか、自分の希望を伝えられる力が残っているかは、誰にもわかりません。だからこそ、元気なうちから医療や介護の希望について考え、周りに伝えておきたいものです。

さて、みなさんに質問です。人生の最期をどこで迎えたいか、考えたことはありますか? 多くの人は「病院で家族に見守られながら」という場面をイメージするかもしれません。実際に、約7割の方が病院で亡くなっています(厚生労働省「人口動態統計」)。一方、内閣府が行った意識調査によると、半数以上の人は「自宅で最期を迎えたい」と回答。多くの人の願いは叶えられていない可能性があるのです。

では、自宅で最期を迎えるにはどうしたらいいのでしょうか。それを可能にするのが、「在宅医療」という選択です。自力で通院が困難となった方、車いす利用者が在宅医療の対象となります。手術やMRIなどの医療機器を必要とする治療や検査は困難ですが、採血やエコーといった簡単な検査や薬の調整については、病院と同様の医療を受けることが可能です。

在宅医療は、急に具合が悪くなった患者さんが自宅での診察を希望する「往診」に加え、月1~2回、計画的に医師が自宅で診察する「訪問診療」の組み合わせで行われます。24時間体制の対応など、一定の条件を満たした在宅医療を行う診療所は、「在宅療養支援診療所」(2020年6月時点で全国に2万2461ヵ所)と指定されているのです。

在宅医療を希望する場合は、かかりつけ医や主治医に「通院がつらくなってきた」と切り替えの相談をしてみましょう。医師によっては在宅医療をあまりご存じなく、「まだ必要ない」と言われることがあるかもしれません。その場合は、看護師さんに話をしてみてください。病院であれば院内の「支援室」などの部署につないでもらえますし、診療所であれば、そのまま相談にのってもらうか、近くの「地域包括支援センター」を案内してもらえるはずです。