イメージ(写真提供:PIXTA)

個人ではなく社会構造の問題

自殺を考える人たちのセーフティネットのひとつになっているのが、電話やSNSを使った相談窓口だ。公的な電話相談では24時間365日受け付ける「よりそいホットライン」、民間では「いのちの電話」や「自殺防止センター」などがある。またSNSを通じた相談も、最近は大小さまざまな窓口ができている。

「ライフリンクでも、18年から行ってきたSNS相談に加えて今年2月から『#いのちSOS』という電話相談を始めました。これまでの電話相談はつながりにくいという難点があったのですが、ITの技術を活かして、初めての相談者からの相談を優先的に受けられるような仕組みを構築し、相談の受け皿も強化しています」と、前出の清水さんは言う。

「#いのちSOS」では相談に乗るだけでなく、緊急性の高い場合は通信事業者とも連絡を取って警察と連動し、対象者を保護できるようにしている。先日も若い女性が飛び降りる寸前で警察に保護してもらったという。

「死にたいといっても、多くの人は積極的に死を望んでいるわけではないと思います。もう生きられないから死を選ぶしかない、心の底では助けてほしいという思いがあるのだと思ってわれわれはご相談を受けています。また、こうした活動を通じて感じるのは、自殺を考えている方は『こうなったのも自分が悪いからだ』と思っているケースが多い、ということ。しかしこれは自己責任や個人の問題ではなく社会構造の問題です。それを広く知っていただけたら」(清水さん)