精神科や心療内科を受診してほしい
一方、自殺した人の約9割は、亡くなる前にうつ病をはじめとする何らかの精神疾患を抱えていると指摘するのは、精神科医で星槎大学大学院の内田千代子教授だ。
「そのような方は、死のうか生きようか、心の底では最後まで揺れ動いていることが多い。その根本にあるのが、絶望的なまでの孤立無援の感覚です。世の中には誰も自分を助けてくれる人がいないという孤独感。自分には価値がないという無価値感。それらは往々にして、うつ病などからくる認知の歪みです。そうした思い込みをほぐすには、専門家の力も必要。もし毎日のように死にたいという思いが浮かぶなら、精神科や心療内科を受診してほしいと思います」
うつ病の症状は、下に挙げたリストがひとつの目安となる。
「この中でも特に重要な(1)か(2)がひとつでも入り、かつ合計で5つの項目が該当する状態が2週間続いた場合はうつ病を疑ってください。まだそこまでいかないけれど、うつ傾向があると感じる場合は、信頼できる人に相談してみるだけでも気持ちが晴れる可能性があります。そして、運動、睡眠、食事、規則正しい生活リズムなど、生活習慣を整えることも大切です。特に運動はさまざまな精神疾患に対する高い予防効果が認められています」と内田教授は説明する。
運動は筋トレなどの無酸素運動でも、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動でも、どちらでもよい。ただし、少し息が上がる程度の軽いものが望ましいという。
うつ病の症状
(1) ほとんど一日中、毎日憂鬱な気分がある
(2) 喜びや興味の喪失が続く
(3) 食欲が減退し体重が減る、または食欲が増えすぎて体重が増える
(4) よく眠れない、または寝すぎる
(5) 落ち着きがないような焦燥感
(6) 疲労感、気力の減退
(7) 無価値感、罪悪感
(8) 思考力、集中力の減退、決断ができなくなる
(9) 死についての反復思考
※アメリカ精神医学会診断基準DSM-5より
(2) 喜びや興味の喪失が続く
(3) 食欲が減退し体重が減る、または食欲が増えすぎて体重が増える
(4) よく眠れない、または寝すぎる
(5) 落ち着きがないような焦燥感
(6) 疲労感、気力の減退
(7) 無価値感、罪悪感
(8) 思考力、集中力の減退、決断ができなくなる
(9) 死についての反復思考
※アメリカ精神医学会診断基準DSM-5より