あなたのおかげで作家になれました

辻村 本当に嬉しい。実は、町田さんと私は同い歳なんですよね。いつ頃から小説を書いていたのですか?

町田 高校生の頃には手遊びのような感覚で書いていましたが、その後すっかり遠ざかってしまって。再び書こうと決心したのは、長女を産んだ28歳の時。作家の氷室冴子さんが亡くなったことがきっかけでした。小学生の頃から大好きで読んでいて、つらい時期に私を救ってくれた。いつか氷室さんに会い、「あなたのおかげで作家になれました」って言うんだと決めていたことを思い出したんです。

町田そのこさん(写真◎本社写真部)

辻村 その気持ち、すごくよくわかります。私は、小学生の頃からずっと作家になりたかったんですが、作家の綾辻行人さんに憧れて、同じようにお礼を言いたい気持ちがありました。24歳の時にデビューしたんですけど、ペンネームの「辻」の字は綾辻さんのお名前から勝手にいただいています。

町田 そうだったのですね。