ペットが幸福な生涯をまっとうするために、飼い主ができることは(撮影◎本社写真部)
自分の最期を考えるとき、ペットのその後のための準備が欠かせない時代になっています。飼い主として実際に行動した人たちに話を聞きました。1人目の長井さんは、愛猫の今後が気になって、ある行動に出たという(取材・文=篠藤ゆり 撮影=本社写真部)

「飼い主の死亡、病気、高齢化」が理由のトップ

もし自分が病気で入院したり、死んでしまったりした場合、残されたペットの面倒は誰が見てくれるのだろう。そんな不安を抱いている人は多いのではないだろうか。

何も策を講じていないと、いざという時、大事なペットが不幸な目に遭うかもしれない。しかし、口約束もアテにならないのだ。子どもに「よろしくね」と託したつもりでも、「忙しくて世話をする暇がない」「ペット不可のマンションに住んでいる」「経済的に無理」などの理由で、保健所や動物愛護センターに持ち込まれるケースは後を絶たない。実際、全国の施設に持ち込まれる理由のトップが、「飼い主の死亡、病気、高齢化」である。

ペットが幸福な生涯をまっとうするためには、「確実に後を託せる人を決めておく」「飼育にかかるお金を残す」の2点がポイント。そのためにはどのような方法があるのだろうか。

東京でひとり暮らしをしている長井京子さん(48歳・仮名)が、生後2ヵ月半の保護猫2匹を飼い始めたのは2018年のこと。チャミ、ユンと名付け、まわりから「過保護では……」と呆れられるほどかわいがっている。

「私はまだ40代だし、仮に猫が20年生きたとしても、最後まで面倒を見ることができると思って飼い始めました。ところが、同年代の友人ががんの手術をしたことで、人間、いつ何が起きるかわからないと実感したんです。私自身、糖尿病の基礎疾患がある。猫を飼い始め、『守るべきもの』ができたことで、先々のことを真剣に考えるようになりました」