磨田さんはこれまでに、四十数件のペットのための信託契約を手がけてきた。子どもがいないなど、委託先が見つからない飼い主には、委託先を探すところからサポートすることもあるという。たとえば犬を6匹飼っている70代のご夫婦は、体力的に飼育が厳しくなった時に託す相手として老犬ホームを設定し、契約を締結している。お世話になったトレーナーさんを選ぶケースもあるそうだ。

 

信託契約書の作成費用は、1匹あたり10万円程度

「遺言書との違いは、病気になる、施設に入るなど、亡くなる前から効力を持っている点です」と磨田さん。ペットのための信託契約書の作成費用は、1匹あたり10万円程度。残すお金の目安は、猫は1匹100万~200万円、犬は犬種にもよるが1匹200万円からが平均的。ただ、銀行に口座を開設するなど、手続きに3~6ヵ月かかるため、信託は遺言書よりハードルが高いと感じる人もいるそうだ。

遺言書の場合、ペットの飼育をお願いする人にある程度の財産を残すことに対して、ほかの相続人が不満を抱いたり、遺留分侵害だと言ってくる可能性も考えなくてはいけない。

「その対策ですが、付言事項としてペットへの思いや、なぜその人に託すのか、しっかり書いておくことをお勧めします。また、ほかの相続人への感謝の気持ちも綴り、遺留分は侵害しないようにし、誰からも納得してもらえる遺言書にすることが大事です」


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