会話で常に意識しているたったひとつのこと
言葉が「心の鏡」であるのなら、心の在りよう次第で、その人の言葉も自然と変わってくるはずです。
バカにしない。否定しない。偏見を持たない。真摯に向き合い、相手の気持ちを推し量り、お互いが気持ちよくやりとりできるように心を砕く。こうした内なる自分の心の在り方が、その人の言葉をやさしく、美しく磨いていくのではないでしょうか。
自分が発する言葉に無頓着になっていませんか?
自分の言葉遣いで人を不快にさせていませんか?
言葉遣いは、相手への配慮、相手への気遣い、心配りです。「あの人とはもっと話をしたい」―そう思ってもらえる人こそ、仕事がデキる人なのです。
一方で私たちの仕事は、お酒とお話でお客さまに楽しい時間を提供すること。ですから、会話力やコミュニケーション能力は何よりも大事なビジネススキルです。
でも、私はずば抜けた「話し上手」ではありません。流れるように淀みない巧みな話術も、爆笑を取れるおもしろ話ができる能力もないタイプだと自覚しています。ただ、そんな私がひとつだけ、お客さまとの会話、誰かとの会話で常に意識しているのが「心の向き」です。
わかりやすく言えば、心の向きとは「誰のことを思って話すか」ということです。
たとえば、心を「自分自身」に向けて話すことは、「自分」が満足したいがために、「自分」が言いたいことばかりを、「自分」の気分や感情のままに話すということ。確かに自分は気持ちがいいかもしれません。言いたいことを話せるのですから。でも、そうした「心が自分向き」の話は、相手にはなかなか伝わらないもの。話す声として、音声信号として聞こえてはいても、心には響かないものです。