「社会的地位が高い親は、問題を隠す傾向にあります。すると子どもは、『自分は隠されるべき存在なんだ』と感じ、ますますどう生きていけばいいのかわからなくなる」(池上さん)

子どもの引きこもりを親が隠す傾向に

岩井 どうすればいいんでしょう。私だってお金以外のことであれば、力になってあげたいけど。

池上 まずはお子さんたちにご自分の資産状況を公開したほうがいいと思いますが、それでもなにも変わらない場合、すぐに公的機関に相談をしていただきたいですね。

岩井 公的機関というのは?

池上 自治体の生活困窮者支援窓口に相談をする、ということです。

岩井 収入があっても、相談にのってもらえるものなんでしょうか。

池上 明らかに生活が成り立っていませんから、そのことが証明できれば問題ありません。ただ収入のない2人のお子さんについては、世帯分離することをお勧めします。

畠中 お母様の収入によっては、簡単に世帯分離ができないことも。策を練る必要がありそうです。

池上 お子さんが障害者手帳をお持ちであれば、「障害福祉サービス」を利用するための受給者証を取得できて、介護面でも自立支援の面でも、幅広いサポートを受けられます。

畠中 障害者手帳のほうが、障害年金より取りやすいですしね。病名次第では障害年金も受給できて、5年よりも前に初診を受けていれば、過去5年分を遡ってもらえるケースも。ただいずれも、診断を受けていることが前提です。

池上 ひきこもりになる人の特徴として、「うちの子どもは障がい者ではない」と親御さんが認定を受け入れなかったり、本人が専門医の診断を拒絶したりするケースがとても多いんですよ。その結果、サポートを受けられず、制度から置き去りにされてしまう。

畠中 そもそも子どもがひきこもっていることを、親が隠す傾向もあります。特に地方は多いです。