「冷えを放っておくと血流が悪くなり、結果として代謝が下がって、熱の産生や体温の維持に悪影響を及ぼします。」(川嶋先生)

暑がりだと思い込んでいる人こそ要注意

川嶋 冷え性の人と暑がりの人、この両者は表裏一体だということです。磯野さんのように自分は寒がりだと自覚している場合は、季節に限らず体を温める工夫や努力をするので、冷えの進行を遅らせたり、現状維持したりできるでしょう。

深刻なのは、自分は暑がりだと思い込んでいる人のほう。そういう人は冷えに気づかず、冷房に当たりすぎたり、冷たい飲み物を大量に飲んだり。その結果、慢性的に冷えている状態なのです。

磯野 暑がりの人にも冷えが潜んでいるとは驚きです。

川嶋 いずれにしても、冷え性の人は体温調節に大きなエネルギーを費やしてしまうため、夏バテしやすい。しかも磯野さんのように寒がりタイプの冷え性の人は、汗をかけず体に熱がこもりやすいため、熱中症にもなりやすいのです。

磯野 そういえば私、何年か前、熱中症に襲われたことがありました。突然、手足の筋肉が硬直しちゃって。そうか、私は夏にご用心の人だったんですね。

川嶋 気づきこそが治療の第一歩。あとは改善していくのみです。

磯野 冷え性の自覚がない人が、自分で冷え性かどうかを判断する方法ってあるのでしょうか。

川嶋 朝起きたときにわきに触れたあと、お腹や腰、二の腕、太ももと全身に触れていきます。わきの下の体温より冷たい部位は冷えていると考えるといいでしょう。

磯野 なるほど。ところで、冷え性は老化現象で起こるものなんでしょうか。だとしたらちょっとショックなんですけど……。

川嶋 女性の場合、更年期を境に女性ホルモンが減少すると、自律神経が乱れがちになります。そういう意味では、加齢も一つの原因だと言えるでしょうね。でもそれだけではありません。若い人にも冷え性は増えているんですから。

磯野 そうなんですか!