まず取り組むべきは「温活」

川嶋 60年前の日本人の平均体温は、実は37度前後でした。それが、現代人は36度台前半。

磯野 徐々に低くなっているんですね。でも私は、35度台なんです。

川嶋 35度台は危険水域と思っていいでしょう。細胞が活性化する体温は成人で37度から38度と言われています。体温が1度下がると免疫力もガタンと落ち、がんにもなりやすい。何より血流が悪くなると気力がなくなり、思考が滞ってしまいがちになる。がんやうつの人の基礎体温が36度を切ることが多いというのは広く知られていることです。

磯野 キャー! 私みたいに平熱が35度台という人も多いと思うんですよ。そういう人はいったいどうしたらいいんでしょう。

川嶋 まず取り組むべきは、「温活」。基礎代謝を上げることから始めましょう。そのためには、体の器官の中で多く熱を作り出す筋肉を増やすことが重要です。筋肉は、熱全体の3割を作り出しているとも言われているんですよ。

磯野 私、数年前から週に一度の割合でピラティスに通っているんです。

川嶋 体幹を鍛えるのは、とてもいいと思います。磯野さんに限らず冷え性の人は体力が低下していることが多いので、筋肉をつけるといっても激しい運動はご法度。少しきついと感じる運動を長く続けることが大切です。あとは、食生活を見直してみてください。

磯野 私は2014年に脳梗塞を発症しています。不規則な生活をしていたからだと反省して、食生活を見直し栄養のバランスを考えながら、きちんと3度の食事を摂るようになりました。大好きだったお酒も断ったんですよ。なのに低体温のままって……。ほかに体温を上げるいい方法はありますか?

川嶋 一口30回を目安に、よくかんで食べるようにしてください。かむことで体の熱の産生量が増え、体温アップが期待できます。

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