「どっちが大関かわからない」
14日目、テレビを見ながら「あらら」の声を2回発した。3敗で照ノ富士を追っていた二人が敗退して4敗に。まず遠藤が小結・逸ノ城に突き落としで敗れ、次に阿武咲が関脇・明生に立合い叩かれて、一瞬にして負けた。混戦はスッキリしたが、面白さは半減。私は遠藤の初優勝も考えていた。
これで3敗の妙義龍が大関・正代に負け、照ノ富士の優勝だ、とは思えなかった。土俵下の妙義龍は引き締まって集中そのものの顔つき。一方の正代は「不動心」というような大それた顔つきではなく、「平常心」というものでもない普通の顔。
妙義龍は正代の前褌(まえみつ)を取り、土俵を走り一気に寄り切り。解説の陸奥親方(元大関・霧島)が「どっちが大関かわからない」と言っていたが、その発言に納得する相撲だった。
カド番の大関・貴景勝は初日から3連敗し、大関陥落の覚悟を決めたかと思ったら、気持ちも相撲も切り替え、勝つときの顔である怒ったような子供顔が復活し、引かなくなった。12日目に勝ち越した時、おかゆ好きの私は、赤飯の代わりにレトルトパウチの小豆がゆを電子レンジでチンして食べて祝った。
大関は白星二桁が当然と言われ、9勝6敗で終わる大関を「貫禄大関」の皮肉として「九六大関(くんろくおおぜき)」と言うが、二人とも8勝6敗で「九六大関」にもなれないのは悲しい。
照ノ富士は新横綱として土俵入りはあるし、今場所は長い相撲が多くて、疲労がたまり、膝にも負担がかかっていると思う。しかし、強い力士には底力がある。
優勝杯を手にするのは、照ノ富士か1敗の差の妙義龍か。
照ノ富士が優勝すると思い、お祝いのレトルトパウチの小豆がゆを用意した。しかし、妙義龍優勝となったら、何を食べたらいいのだ?
「番付をくつがえすベテラン強し。参りました」と言いながら同じものを食べよう。