2021年9月12日、東京・両国国技館で開幕した大相撲九月場所は、白鵬、照ノ富士両横綱の対決が期待されましたが、宮城野部屋から新型コロナウイルスの感染者が出たため全員休場。新横綱の照ノ富士は無事白星でスタートを切りました。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります
新横綱、安定の白星発進
大相撲秋場所が東京・両国国技館で始まった。
初日の注目は新横綱・照ノ富士の土俵入り。白鵬と同じ不知火型だが、白鵬のような腕の動きの癖がなく、素直な土俵入りが良かった。照ノ富士は、土俵から去る時に少し戸惑ったが、これはご愛敬だ。膝のサポーターは綺麗なのをしていた。土俵入りはせり上がりがあり、膝を悪くするといけないので、サポーターも良しだと思う。
残念だったのが大関・貴景勝。幕内土俵入りの時、「今場所はやるからね」という気迫の顔をしていたが前頭二枚目・北勝富士に暴れないまま負けてしまった。先場所、首を痛めて途中休場して4回目のカド番。やる気が白星に繋がるといいのに。
幕内土俵入りで、大関・正代はおとなしい顔をしていた。正代は前頭筆頭の豊昇龍を押していったのに、押し返され、寄り切られて負け。押した時のつま先立ちが素敵とか、この詰めの甘さが魅力とか、誰も言わないと思う。正代に横綱になってほしいと思ったことのある私は、悲しい。
目の前で二人の大関が負けても、照ノ富士は横綱の伝達式での言葉通り「不動心」だった。小結・逸ノ城を圧倒的な強さで寄り切って勝った。