実は、相手との温度差や価値観の違いというのはコロナ以外にもたくさんあります。たとえば経済力に違いがあったり、どちらか一方が家族に気兼ねなく出かけるのが難しい状況だったりしたら、A子さんとあなたは食べ歩きや旅行を楽しめていたでしょうか。

彼女とはほかにも共通点が多く、多少の温度差はあっても気にならない程度だったから、2人は仲のいい友達だったのではありませんか。

共有できない価値観が一つ明らかになっただけ

コロナの不安がぬぐえない現在、多くの人は視野が非常に狭まっています。「あの人は変わってしまった」と感じるのも、対コロナという状況下だけのこと。長年の友情が壊れたわけではなく、共有できない価値観が一つ明らかになっただけのことです。違いにばかり焦点を当てないで、これまで食べ歩きや旅行で過ごした楽しい時間に視野を広げてみては。

「やっぱりA子とまた出かけたい」と思えるなら、やり場のない気持ちは抑えて「コロナが収まったらぜひまたね」と手紙やメールを送っておきましょう。きっとA子さんも、喜んでくれるはず。

食べ歩きができないなら、同じ食べ物をお取り寄せしてZoom飲み会を楽しんだり、お互い浴衣を着て旅気分を味わったり。感染を気にせず楽しめる方法を一緒に考えてみるのも、いいかもしれませんよ。

 


【誌上相談室】60歳からの友情、距離感に悩んだら
〈1〉段取りは私任せで、いつも甘えてくる友人
〈2〉乳がんを患った私に対する友人の気遣いが重い
〈3〉コロナ禍で感じた価値観の違いや温度差
〈4〉友を亡くした喪失感とどう向き合えば……
〈5〉親が介護施設に入ることを暗に非難された