「両親にはできるだけ親孝行したい、望むことはなんでもしてあげたい。コロナ禍のいまは、毎日のように電話しています」

デビュー後は「演歌界のプリンス」なんて呼んでいただくようにもなりましたが、実は、プリンスでもなんでもないんですよ。努力と勉強を重ねた末に、ようやく歌えるようになったのですから。

歌手としての人生が長くなっても、自分の原点は実家のアパートです。子どものころ、母の作るミートソースが大好きでした。アパートの玄関脇にある2畳ぐらいの狭いキッチンに立って、母がタマネギと挽肉をジャーッとフライパンで炒めている。それを玄関の下駄箱の上にのぼって、ワクワクしながら眺める幼いころの私。

ガスコンロに向かう母の後ろ姿を眺めているだけで、安心できて幸せで、ミートソースの完成が楽しみで……懐かしいな。いまでも鮮明に覚えている光景です。

両親にはできるだけ親孝行したい、望むことはなんでもしてあげたい。コロナ禍のいまは、毎日のように電話しています。ほんの一言二言交わすくらいですが、元気だということだけでもお互い伝えあえれば、と思って。