煮あずきが産後の身に染みた
伊藤 娘3人を連れてアメリカに移住したとき、上のふたりがなじめなくてね。そしたら、ねこちゃんが娘たちをネパールに連れてってくれたの。
枝元 そのとき、恋人が年下のネパール人だったのよ(笑)。だからしょっちゅう行ってて、子どもたちも一緒に行ったらいいじゃん、楽しそうって思ったんだった。
伊藤 ありがたかったよ。14歳と12歳。思春期の一番大変な時期だった。ねこちゃんって、家庭内のキチキチした固定観念みたいなもの、いとも簡単にぶち壊すのよ。それが子どもたちには響いた。
枝元 そうかも。わたし子どもいないし、小さな子に対しても全然お母さん目線になれない。気持ち的に《タメ》になっちゃう。
伊藤 子どもが小さくて育児が大変だった頃、ねこちゃんや他の女友達と話すとき、だれも子ども作ってなかったから、あんまり子どもの話はしないようにしてたんだよね。でも娘たちが思春期になった頃から、あたしも、娘たちも頼っていったし、ねこちゃんも踏み込んでくれた。
枝元 10日間の旅でね。一度、雨の中を歩いて靴が泥だらけになってね、わたしクタクタだったから、ネパール人の彼に「靴、洗っといて」って言ったの。それを見ていた上のカノコが「ねこちゃん、相手が若いからっていいように使ってたらダメになるよ」って。(笑)
伊藤 その男も、若くて、稼ぎなくて、自我ばっかり強くてめんどくさい男だった。ねこちゃんの男、そういうのばっかりだった。
枝元 ひろみちゃんにはいつも言われてた。「次はエスタブリッシュトな男にしなよ」って。わたし、その単語の意味、調べたよ。