1:カフェやイベントに利用している14畳の大広間/2:認知症関連の書籍が並ぶ図書室/3:栄子さんの茶室/4:トイレはバリアフリーに/5:対面式キッチンではみんなで調理ができる

地元の協力を得てイベントを企画

まずは2年間空き家だった繁田家の掃除から。内門さんが地元の地域包括支援センターや知り合いの研修医に声をかけ、ボランティアとして数名が駆けつけてくれた。家屋の改修・バリアフリー化の費用はクラウドファンディングで支援を募り、確保したそうだ。

19年4月に、正式に「SHIGETAハウスプロジェクト」の活動がスタート。同年7月には改修工事が終わり、毎週火曜日にオープンする「平塚カフェ」や会合の場所として使われる14畳の大広間のほか、お茶室、図書室、相談室として使える部屋がある。複数人が同時に立てる広いキッチンも完備され、トイレもバリアフリー化されて使いやすくなった。

19年7月、空き家を改修した「SHIGETAハウス」のお披露目会。実家を提供した繁田さん(中央)を囲んで

7月のオープニングパーティでは栄子さんが抹茶を点てて40人ほどにふるまい、お茶のいただき方の説明などもしたそうだ。

「やはり、長年身についたものは苦もなくできるんです。認知症になると、本人も家族も、『失ったもの』ばかりに目を向けがちです。でも、できることはたくさん残っていると、母の姿を見て改めて実感しました」