バスケやウクレレも
それまで平塚には縁がなかった早川さんは、内門さんから紹介された地域包括支援センターのスタッフに平塚を案内してもらい、たくさんの人と会うことから活動を開始。オーガニック野菜を扱う「いかす平塚農園」の協力を得て、植え付けや収穫の手伝いに参加するイベントを企画した。
そのほかにも、プロバスケットボールの試合や音楽学校の協力によるウクレレ教室など、認知症の人やその家族とともに楽しめるさまざまなプロジェクトが立ち上がった。
「『場』を作り、『拠り所』が生まれることで、人とのつながりが広がる。『これ、おもしろそう』と誰かが言い出し、話し合って、実現していく。流動的にいろいろなことが起きて変化し続けるのが、『SHIGETAハウスプロジェクト』なのかなと思います」と早川さん。
内門さんは、「僕が一番恩恵を受けているかもしれません」と言う。若年性アルツハイマーや軽度認知症の人、介護施設を必要としていない認知症の人に「SHIGETAハウス」のことを伝えると、興味を持つ人は多いそうだ。
「『平塚カフェ』をのぞくと、当院に通院中の患者様やご家族にお会いすることがよくあります。病院でのコミュニケーションとはまた違い、リラックスして相談しやすい様子も感じますね」
医学部の学生や地域医療実習中の研修医を「SHIGETAハウス」に連れていくと、刺激を受ける人も多いとか。彼らの中から、認知症支援にかかわる医師が生まれることを期待しているという。