遠慮せず、担当は変えてもいい

村井 それで介護チームにひとり、男性が入ってくれまして。それも30代後半のハキハキした人。それから義母の《ママスイッチ》が入ったようで、「あんな若い子に迷惑かけたらあかんわ」と、いきなりシャキーン。あまり積極的じゃなかったデイサービスやショートステイも行く行く。「こんな楽しいところないわ」って。このあいだのぞいたら、「浦島太郎」を張り切って歌ってました。

カータン よかったですね。

村井 介護のメンバーによって、様子がコロッと変わったりもする。「迷惑かな」と遠慮せず、担当の方をどんどん交代してもらうことは大切だと思いました。

カータン はじめは戸惑うことも多かった介護ですが、介護のプロの方の「自分たちで抱えこまず、いろいろな支援を使いなさい」という言葉に励まされました。役割を分担しながらワンチームでやるのがいいと。以前、私のブログに「隣の家の老夫婦が認知症だったら、私は怖くてたまりません」というコメントが寄せられたことがありました。けれど、ケアマネさんは、「認知症であっても、徘徊などがなければ、ヘルプを十分に受けることによって自宅で生活できます」とおっしゃっています。実際に私の母は今、ひとりで暮らしていますし。

村井 そうですね。ただ、危ないことはありますけどね。「排水溝のチェックを無料でします」という業者とか。15万円の請求書を見つけた時は仰天しました。

カータン うちの実家には屋根修理の業者がしょっちゅう来ます。それも、なぜかイケメンばかり(笑)。母はガスを使わないのに、新式のガスコンロ購入の申込書にサインしているのを発見して、あわてて断りの電話をかけたこともありました。

「抱えこまないで、いろいろな支援を 使いなさい」という言葉に励まされました(カータンさん)

村井 知らない人は敷地内に入れない、電話は留守番電話にして出ない、とか「これをしたらダメ」が認知症の義母には通用しないので、そこは追いかけっこです。義母は厳しい姑で、昔はずいぶんイビられもしました。それが最近ではとても素直になって、子どものよう。介護は大変なことも多いけれど、私は今の義母が好きなんですよ。中学生の時に体操をやっていたとかで、家の中で平均台の練習の真似ごとをしながら「理子ちゃん、見て」という姿を見ると、「可愛いなあ」って。