ただし、「口出ししないで」と言えば角が立ちます。それに最近は、スマホなどを利用して毎晩顔を見て孫と話すような方も増えており、祖母と孫が一定の距離をとることは案外難しい。孫が、こっそり何かねだったりするケースも。そういう環境で「干渉しないでね」と伝えるには、技術もいります。
無難な方法は、まずは「子育てを手伝ってくれてありがとう。これからもお願いね」と感謝したうえで、「でもお母さんの時代とは、30年の差があるの。夫と2人でなんとか育てていこうと思うので、その方針に関しては認めてね」と、はっきりと言う。
最初に感謝を伝えるのは、いざという時の応援団として母親を確保しておいたほうがいいからです。万が一、母親がヘソを曲げてしまうと、何かあった時に助けてもらえません。祖母のケア力を利用できる余地は、絶対に残しておくべきです。
この方は「自分も母のようになってしまいそうだ」と心配しているようですが、その点は大丈夫。自分が受けた支配を自覚し、子どもに対して繰り返すまいという気持ちがあるので心配いりません。
孫はあなたの子どもではありません
祖母の立場の方にひとことアドバイス。娘の子育てに口出しをしないというのは、非常に努力のいることです。ハラハラすることも多いし、不安もあるでしょう。でも、孫はあなたの子どもではありません。「口出しはよそう」と自分に言い聞かせて、努力していただきたいのです。
そして、本当に娘家族が困っているときには、助けてあげてください。干渉しすぎると、最悪の場合、娘が育児放棄する可能性もあります。そうなってしまうと孫もかわいそうです。
あなたが家庭を築いたのは、高度成長期。徐々に生活がよくなっていった時代です。でも時代が変わり、今は経済的に厳しいですし、格差も顕著になっています。ですからあなたが亡くなった後、お孫さんが満足に教育を受け、やりたいことをできるように、ひそかに金銭的な援助の準備をしておくことをお勧めします。心から感謝されると思いますよ。