放置されたままの「放課後の性」
そのサービスの現場で今、性にまつわるトラブルが問題となっている。
障害の有無にかかわらず、全ての人は性的な存在である。そして、子どもであっても、性的な欲求や興味関心は備わっているし、他者から性的な対象として見られることもある。
しかし現実では、学校でも、家庭でも、そして放デイにおいても、障害のある子どもの性に関する話題はタブー視されがちである。性的なトラブルが起こった時に参照できるようなガイドラインもない。学校や家庭での性教育も、満足に行われているとは言い難い。
私が代表を務める一般社団法人ホワイトハンズでは、放デイの職員、及び利用者である子どもの保護者を対象にして、現場で起こっている「性に関するトラブル」についてのウェブアンケートを実施した。
アンケートには、保護者88名・職員21名から回答が寄せられた。人前で下着を脱ぐ、裸になる、異性の子どもや職員に抱きつく、つきまとい行為を繰り返す、異性の服を盗む、スマホで自分の裸の画像を送ってしまう、SNSやアプリで知らない大人に出会ってしまう・・・など、放デイの現場では、性に関する様々なトラブルが日常的に起こっていることが明らかになった。
現場の職員は、性に関するトラブルにどのように対応したらいいのか分からない。職員の低賃金や長時間労働などの待遇の悪さ、人材不足、施設の狭さなどの問題もあり、「性の話をしている余裕はない」という事業所も少なくない。行政がガイドラインを策定することもない。親も自分の子どもの性は直視したくない。学校との情報共有もうまくいかない。
誰もが思うように動けない中、お互いに責任を押し付け合う中で、障害のある子どもたちの「放課後の性」は放置されたままになっている。