「子どもたちの性」に立ち向かう職員
「放デイにおける職員による子どもへのわいせつ行為が問題に」といった報道がなされると、職員に対する不信感や疑いの目が強くなってしまうかもしれない。
しかし、限られた人員と時間の中で、日々悩みながらも「子どもたちの性」に真摯に向き合っている職員は少なくない。今回のアンケート調査でも、そうした職員の声が多数寄せられた。
「思春期の女性の身体を触ることに抵抗があるので、中学~高校生の女子の靴を脱がせる介助や靴下をはかせる介助は、できれば女性職員にお願いしたい。でも、人手が足りない場合は、男性職員がやるしかない」
「女子児童の保護者から『今日は生理痛がある』という連絡があっても、具体的にどう対応すればいいか分からない。それでも、子どもたちから見れば、自分は『先生』なので、甘えたことは言っていられない。性的なトラブルに対処できないとは言えないし、言うべきでもない」
「身体の発育が早く、生理が始まったら泣いてパニックになることが予想される子どもがいたので、保護者の要望もあり、本人に対して事前に生理のことを教える機会を設けた。実際に生理が始まった時、想定していたよりも少ない混乱で済んだ。そのことが口コミで伝わって、保護者の友人から『自分の子どももお願いします』と言われたこともある」
「生理の対応だけでなく、子どもができる仕組みなどについても、踏み込んで教えた方が良いと思ったが、保護者から『そこまでは教えないで』『血が出るようになるということと、生理用品の使い方だけを教えてほしい』と言われた」
「子どもたちに教えられることはいっぱいあるようで、実は少ない。私たちは、子どもたちに対して、本当に大事な話ができているのかな・・・と考えることもあります。卒業までの時間は短いです」
「性について教えるべきなのか、それとも知らない方がいいのか、家庭で教えるべきなのか、それとも放デイで教えるべきなのか。子どもの知的レベルによって判断は変わるので、いつも迷います」
こうした回答を読むと、現場で頻発する子どもの性のトラブルに対して、限られた時間と人手の中で試行錯誤しながら、そして保護者の意向にも配慮しながら、一所懸命対応している職員の姿が浮かび上がってくる。
今必要なのは、放デイの職員だけに「子どもたちの性」と向き合う負担を押し付けずに、家庭や学校、地域で包括的にサポートしていけるような仕組みを作ることであろう。